マーケティング部の苦悩



マーケティング部門(通称マーケ)とは、市場調査や環境変化の動向予測に基づき、商品やサービスのブランディングや販売促進を担う部門である。


要は、その会社の商品やサービスが売れ続けるための戦略を立案し、実行していく部隊である。


近年ではメーカーでも花形とされる職種の一つであり、マーケ志望の学生や若手社員も比較的多い印象がある。




僕もかつてはメーカー勤務だったため、表面的かもしれないけど、メーカーのマーケがどんな仕事をしているか”なんとなく”は理解しているつもりである。


それゆえ、その難しさに思いを馳せることもある。




僕自身、メーカー時代は生産管理や開発部門に所属しており、極めて客観的でロジカルな世界で仕事をしていた。


つまり、数値的な根拠や論理性が絶対であり、いかに数字(データ)を集めて自身の仮説に説得力や納得感を持たせるか──その作業を「論理武装」と呼んでいたが──それを常に心掛けるよう指導されてきた。




一方、マーケティングという仕事はどうか。


実は、彼らも極めて論理的な思考に基づき戦略を練っている。


お客様の購買行動や市場環境などをできる限り数値化して、そこから導かれる極めて「合理的」な戦略を立案・実行することが求められる職種だと認識している。


ただし、人間の趣味・嗜好を調査対象にする以上、数字やデータでは説明しきれない「余白」が、どうしても技術部門と比較すると多い印象がある。


そこにこそ、マーケティングの難しさや面白さがあるんじゃないかと想像する。




さて、実は最近、会社までの通勤経路を変えた。


距離は多少伸びるものの、車の交通量や信号の兼ね合いで、こっちの方がトータルで早いんじゃないか?という経路を試している。


経路を変更したことで、これまでの通勤路にはなかった「セブンイレブン」が登場するようになった。


朝、そのセブンイレブンに立ち寄ることがあるのだが、コンビニに行くとつい、必要以上に何かを買いたくなってしまう。


その日も会社で飲むお茶を買いに寄ったのだが、朝の冷え込みが急に強まってきたこともあり、温かい飲みものが欲しくなった。


普通の缶コーヒーなら会社の前の自販機で買えるし、折角ならコンビニでしか買えなさそうなものにしようという思考が働いて、選んだのがコレ。





『スターバックス ヘーゼルナッツ ホワイトモカ』


普段ならまあ買うことはなさそうだけど、その時はなぜかこれが気になってしまった。


美味しかった。


普通に美味しかった。


美味しいな~と思ってラベルを見ていたら、








商品名:こっくりとしたヘーゼルナッツ香るホワイトモカ


こっくりってなんや??


そんな修飾語聞いたことないで。笑




商品名っていうのはまさに商品の名前だから、子どもに名前を付けるのと同じで、めっちゃ真剣につけると思うねん。


マーケ部の大人が集まって、あーでもない、こーでもないって言って侃侃諤諤の議論の末、「こっくり」が採用されて、


さらに偉い人達の承認フローを経て商品化されたと思ったら、なんだか面白くなってきてしまった。


めっちゃ失礼かもしれないけど、色んな案が出て議論しまくってるうちに変な方向に進んでしもたヤツやん!って思ってしまった。笑


マーケティング部の苦悩を、この商品名に垣間見た気がした。




ただ、「こっくりとした」というのはちゃんと存在する日本語だし、ぼくがそうじゃないだけで、ほとんどの人にとってはしっくりくる表現なのかもしれない。


そのときはスミマセンでした。


でも、他のラインナップにどんな修飾語がつけられてるのか、めっちゃ気になってしまっている自分がいる。


折角だし、ほかの商品も購入して、マーケ部の苦悩とともにかみしめてみたいと思う。

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