ウイスキーづくりの中で、もっともドラスティックに性格が変化する工程が蒸溜です。
炎の熱と銅の働きにより、発酵液は香りをまとい、原酒へと姿を変えます。
理論と経験との両輪で成り立つこの工程には、職人たちの感覚と判断が息づいています。

1. 蒸溜という“変化の工程”
発酵を終えたウォッシュ(もろみ)は加熱され、蒸気となって立ち上がります。
成分ごとに沸点が異なるという性質を利用し、軽やかな香味成分だけを気化させ、再び冷却して液体へと戻します。
蒸溜は、アルコールの濃縮であると同時に、香りの“選別”です。
不要な成分を取り除き、理想の部分だけを抽出する。
このプロセスによって、ウイスキーの個性の核となる「ニューメイクスピリッツ」を得ることができます。
2. 炎・銅との対話
蒸溜器(ポットスチル)は味わいの方向性を決める重要な設備です。
形や大きさ、ネックの角度、冷却の方式など、いずれも香味に影響します。
蒸溜を担うスチルマンは、火加減や蒸気の立ち方を常に観察します。
温度計の数字だけでなく、銅が発する音、立ち上る香りの変化も、時に重要な判断要素になります。
銅は不純物を吸着し、余分な硫黄成分を除くことで、香りをクリーンに、味わいを柔らかく整えます。

3. “選別”の技術
蒸溜液は時間の経過で成分が変化します。
最初の「フォアショット」は刺激が強く、最後の「フェインツ」には重い香りが残ります。
その中間の「ハート(ミドル)カット」が製品の中心になります。
切り替えの判断は、数値管理だけでなく、香り・味・温度・流速など複数要素を総合して決めます。
蒸気の質感や流れの変化を身体感覚で捉えることが重要とされています。

4. 科学と経験が交わる場所
蒸溜は理論で説明できますが、現場では数字だけでは測れない“感覚の領域”が存在します。
外気温や湿度、火力のムラ、スチル内の圧力変化など、その日の条件に合わせて微調整を続け、最適な状態を保つ。
こうした積み重ねが、ブランドの一貫性を支えます。
「熱の管理」という一言では収まりきらない職人の判断が、原酒の可能性を引き出し、最終的な香味を決定づけます。

5. 一滴の誕生 ― ニューメイクの瞬間
冷却器から最初の一滴が現れる瞬間、蒸溜所の空気は一変します。
甘くフルーティな香りを伴い、透明なニューメイクスピリッツが姿を見せます。
ここから樽の中で年月を重ね、ウイスキーへと成長していきます。
蒸溜は、その第一歩。科学と経験が交差する現場で、原酒には“命”が宿ります。

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